“私は歯医者ですが、むし歯を治すことはできません!”
「えっ!?」、と思われる方も多いでしょうが事実です。
というより、むし歯になった歯を元通り出来る歯医者はいないのです。
それでは、歯医者で行っているむし歯の治療とは何なのでしょうか?
今までは一般的に歯の補修工事でした。むし歯になったところを削り取りその部位に不活性材料で補填するという物なのです。決して元々あった健康な歯に戻ったわけではありません。
このように書くと「なんだそんなこと当たり前じゃないか」と思われる方も多いと思います。
「では、その補修工事をした歯は、どの位もつかご存知ですか?」
歯科修復物(詰め物や被せ物)の寿命は素材によって異なり、一般的にレジン(プラスチック)製は5年程度、保険の銀歯は5~10年、自費のセラミック製は10~20年程度とされていますが、個人の口内環境やケアによって大きく変動します。
修復物の種類と一般的な寿命
- コンポジットレジン(:白い詰め物):通常2~5年程度とされています。
- 金属の詰め物・かぶせ物(銀歯など)::5~10年程度が目安です。
- セラミック(陶器)製の被せ物::10~20年程度持つことが多いとされています。
- ブリッジ::銀歯のブリッジで約8年、セラミック製で10年以上など、素材や設計によって異なります。
- 金属の詰め物(ゴールド)::長期的に見ると非常に耐久性が高く、40年以上使用できるケースもあると報告されています。
つまり、歯医者で治したと思った歯はその後また何年かすると再発を起こしてくることが殆どなのです。そして更に大きく削り補修をする。その繰り返しです。でもいつかその繰り返しが出来ない時がやってきます。大抵は金属の被せ物の歯に問題が起こる時です。そしてついには歯を抜去する事になってしまうのです。
治療の基本はまずその病気の原因を取り除くことからはじまるのです。原因の改善をなくして削ってつめるだけの治療を行う従来の方法から変えていく必要が有るのです。
患者さんの病気の原因を取り除くことも治療のひとつと考えます。原因が改善してからはじめて修復治療が行われるのです。
さらに重要なことは必要な部位の修復治療が行われた後にその原因の改善状態が維持されていくことなのです。そのための継続的な歯科医院でのケアが必要となってくるのです。
原因の除去とそれを維持するメンテナンスこの両者を取り入れてはじめて患者さんのお口の健康を守っていくことが出来ると阿部歯科医院では考えています。
このように言うとなにか特別なことを行っていると思われますがこのような診療の進め方は北欧の歯科の先進国では当たり前に行われていることなのです。 人々は継続的にむし歯にならないように原因の除去を行うために歯科医院に通いケアを受け、健康な歯を手に入れているのです。これらの国では歯医者に通う理由が日本とは異なるのです。
“歯を失わないための歯科治療”
色々と前置きが長くなりましたが、歯を失わないための歯科治療とは
原因除去とメンテナンス中心のシステムへの転換を行うことが必要と考え、阿部歯科医院では現在このための予防診療システムを用意しています。診療中の説明とあわせてご理解いただきたいと思います。
“賢く歯科医院と付き合っていきましょう”
歯の治療は悪くなってからでは、痛みを伴ったりいやなものです。いやな思いをして直した歯も削ってつめただけでは冒頭の話のようにまた再発を繰り返してより多くの治療費がかかるというのは、お勧めできません。
継続的なメンテナンスは歯科医院で行われる数少ない気持ちのいい処置です。病気の原因を改善し、気持ちのいいケアを受けることによりお口の健康を維持することのほうがより賢い歯科医院との付き合い方だと思います。